【奥伝を頂いて】趙天水

 この度は、奥伝のお許しを頂きありがとうございました。3月10日夜9時過ぎ久保川先生より携帯に電話が入り、なにかあったんだろうか?と慌てて出たら「おめでとう!」と。両国からの帰りお疲れなのに電話を下さりました。感謝でいっぱいです。
 去年先生が体調を崩し、大変お辛いときでも極力お稽古を休む事がありませんでした。私が無理をしないで下さい。というと「大丈夫よ。」と。気丈に琵琶を弾き始める姿に心を打たれ、一生懸命練習しました。先生は「いつまでも初心者の気持ちではなく、時には自信を持ち大胆に、時には謙虚に繊細な心構えで。」と教えてくれました。琵琶のお稽古では必ず始める前に胸に刻みます。
 久保川先生との出会いは、石田不識先生からです。家事をしながらテレビをつけっぱなしにして見るとも見ないような・・・ところが、一瞬、目が釘付けになったのが石田先生と琵琶でした。「えっ」と思っている内に画面は変り、もう一度見たいと思っても映りませんでした。
 インターネット等の情報に疎い私は、電話番号を調べ電話をするのに緊張して半年くらい過ぎ「よし」とドキドキして電話をし、先生が出られ、あっさりと「私は教えていない」との事。がっかりしていたら「あんた、どこの人?」と聞かれ、高崎線で・・・と答えたらすぐに「高崎に良い先生が居るから」と電話番号を教えてくれました。後に石田先生と私は八戸出身と言う事を知りました。少し前のことですが、青森県文化賞を受賞されました。すばらしいです。
 色々な情報も得る事は大事ですが、知ってしまった事で考えていると足踏みして前に進めない事もあります。
 私は何も知らずに電話をかけて久保川先生に会えた事が、今に辿り着いているのだと感じています。それがとても貴重な7年間なのです。
 石田先生にとても感謝しております。
 奥伝を頂いたこれから、久保川先生、古澤会長、本部の皆様、高崎支部の皆様の背中を追いかけ練習に励みます。
 ありがとうございました。