【皆伝をいただいて」梅木芳水

 この度は皆伝を頂きまして本当にありがとうございます。
数か月前に尾山先生より皆伝受審のお話しを聞いたときに、「あと2、3年後にお願いします。」といつもの消極的な返答をしてしまいました。心の中で、「せっかく先生が勧めて下さっていることを、なんで必ず一回否定するんだ。」この後ろ向きな思考回路は性格とはいえ本当に情けないと思いなおし、「不合格でも構わないので、悔いのないように全力を尽くします。」と改めて返答をし直しました。
 それからは、先生の「とにかく歌をもっとお腹から歌えるように」と言われたことをなんとかしようと思い、見渡す限りの田んぼに囲まれた田舎に住んでいる私は、夜、田んぼの真ん中に行って大声で歌うということをやり始めました。野外ではさえぎるものが無いため出しても出しても声は響きません。自然とお腹をぐっと引き締めて最後まで歌うようになってきました。案の定、大声で歌うだけでは、すぐに喉が痛くなります。ただ、室内で歌うと確かに声はでるようになってきました。どうやってお腹から声を出す?頭では解らなかったことが、なんとなくですが体で、微妙に変化を感じるようになってきました。言葉にはできませんが。
 あと、お腹から大声を出すことと、歌うことには共通点もあるけれど、声を出すルートが違うと感じたところで、まだ何も答えを掴むことができずに謎を残したままテープを録音する期限が来てしまいました。
 まだまだ未熟者であることは重々承知しておりますが、こんな私がよくここまで来られたものだと思います。
 根気強く指導してくださる尾山先生、琵琶の仲間、本部のサポート、下手な演奏を聴きに来て励ましてくれる友人、本当にいろいろな人の支えで何度な続けてくることができました。
 「皆様に感謝です!」