この度は初伝のお許しをいただきまして、誠にありがとうございました。
琵琶を始めるきっかけは、大学二年時にたまたまテレビで琵琶の演奏を見たことです。両親の影響もあってか、小学生の頃から日本の歴史に深く関心があり、ゆかりの地に足を運んだり、関連の書籍を読む等、勉強を続けてきました。琵琶の演奏を見た時、今後は学ぶだけではなく歴史を語り伝えていきたいと強く思い、ご縁あって杭東先生にお世話になることになりました。お稽古には大学から直接向かっていましたが、授業はそっちのけで練習している曲を頭の中でずっと復讐していました。友人に琵琶を習い始めたことを話すと、皆揃って「え?あの平家物語の?」と目を丸くするので面白かったです。
とにかく不器用な私は歌法も弾法ものみこみが悪く、杭東先生には多大な負担をかけてしまっていますが、いつも丁寧に指導していただいています。この4月から小学校で教員として働くことになりましたが、先生のように一人一人をしっかり理解し、適切な指導を行うことのできる教員になりたいと思います。
そんな温かい師匠が教えてくださった事柄の中でいつも心に留めていることがあります。「様々な経験を大切に積み重ね、人間性を磨く」ということです。琵琶の演奏は何よりも曲の中の人物の心情を表現していくことが大切だと考えています。人の心を動かすことができるように心情を表現するには、その人物に自分を重ねなくてはなりません。そのためには常に自分の人間性を磨いていく必要があるというようなことを先生はお話しして下さいました。それ以来、「人間性を磨く」ことを自分の行動を決める指針とし、人生をかけての目標として掲げています。
まだまだ未熟な私ですが、人の心の琴線に触れることのできるような演奏を目指して精進して参ります。今後とも皆様の御指導と御鞭撻を宜しくお願い申し上げます。