母(義母)が弾いていた琵琶、その形の美しさと木肌のぬくもりが感じられる楽器、母が亡くなって8年間ずーっと、床の間に飾って置かれていました。このまま誰にも弾かれる事なく、いずれ始末されるのかなぁと眺めていたのですが、母の琵琶友の薦めで五十嵐雅水先生の所にお稽古に通い始めました。音楽畑にはあまり縁のなかった私にとって、琵琶の半音の世界、腹式呼吸のの発声はとにかく難しく七転八倒の20年でした。こんなに難しい楽器は他にないのではないか?とんだ事に首を突っ込んでしまったと思うことも!
こんな大変な楽器を弾く事と更にそれに合わせて謡う世界に、他人様を勧めたり、誘い込んだり、まして教える事など出来るはずもなく、自分一人でこの楽器と向き合って行こうと、ずーっと堅く心に決めていましたが、昨年、縁あって知人の娘さんが”やってみたい”と家に来るようになりました。私も一からのつもりで、一緒に弾いたり、歴史を紐といたりしているうちに、彼女の心に”続けてみたい”という気持ちが芽ばえて来ました。そこで無免許で教え続けるわけにもゆかず、今までの堅い信念を覆して、私自身、これからの上達はなかなか望めないながら、彼女と一緒に勉強してみようと、この度教師免許の申請をさせて頂き、許可の通達を頂きました。御礼申し上げます。これを機にさらに精進しなければと思っています。ありがとうございました。